2008-11-16

MedFilm Festivali/地中海映画祭に見るトルコ映画

2008.11.16

 先日、トルコ映画がイタリアで注目を集めている、といういくつかの記事をトルコの新聞サイトで見つけました。

 11月6日からローマで“MedFilm Festival/地中海映画祭”が開催されているのですが、トルコ映画が最も高い関心を集める作品のなかに数えられている、というのです。オープニング作品として、Ozcan Alper/オズジャン・アルペル監督の「Sonbahar/秋」が上映される同映画祭では、審査員としてトルコの映画監督であるSemih Kaplanoglu/セミヒ・カプランオール氏が選ばれたことも関心を集めているとか。ほかにもUmit Unal/ウミット・ウナルや、Inan Temelkuran/イナン・テメルクラン、Baran Seyhan/バラン・セイハンといった監督の映画がラインナップされています。

 第14回を迎えるという映画祭に、トルコはドイツとともに「名誉ゲスト国」として参加。映画は“街と国境の物語”という名のもとで上映されているそうで、オズジャン監督の『秋』のほかにも、ウミット監督の『Ara/すき間(2007)』、Mehmet Gureli/メフメト・ギュレリ監督の『Golge/影(2008)』、Mehmet Guleryuz/メフメト・ギュレルユズ監督の『Havar/畝(2008)』、イナン監督の『Made in Europe(2007)』、Dervis Zaim/デルヴィシュ・ザイム監督の『Nokta/点(2008)』、セミヒ監督の『Süt/ミルク(2008)』『Yumurta/卵(2007)』といった作品が目白押し。
 ちなみにオズジャン監督の『秋』は、長編映画のコンペティション部門に出品されており、もしかしたら受賞するかも!? ……と思ったら、「受賞作は11月14日の授賞式で明らかに」と書いてあるから、既に結果は出ていますね(公式サイトをチェックしましたが、受賞結果らしきものが見つかりませんでした。でも、Milliyet/ミリイェット紙では、セミヒ・カプランオールの『卵』が“ユーロイメージイタリア賞”を、オズジャン・アルペルの『秋』が“特別名誉賞”を受賞したようです)。

 公式サイト(英語・フランス語・イタリア語で閲覧可能)のShowcase Turkeyの項をチェックしてみると、なかなか興味深かったので、長くなりますが、ここでそれぞれの映画を簡単に紹介したいと思います。


『Sonbahar/秋』※特別名誉賞受賞
2008年トルコ・ドイツ共同製作(35mm/color/106min) 監督:Ozcan Alper/オズジャン・アルペル
 22歳の大学生のとき刑務所行きを宣告されたユスフは10年後に釈放となり、東黒海地方にある故郷へ戻る。そこで彼を迎えたのは初老の母だけ。父は、彼が獄中にいるあいだに亡くなっていた。また、彼の姉は結婚して都会へと去っていた。彼が唯一会ったのは幼なじみのMikail/ミカイル。秋がゆっくりと冬に道をゆずる頃、ユスフはミカイルとともに居酒屋へ行き、そこで美しいグルジアの売春婦Eka/エカと出会う。タイミングも、ふたりの状況も、異なる世界に住むふたりがいっしょになることを許してはくれない。にも関わらず、ふたりの愛は命をつかみ、孤独から逃れるために必至にもがく。


『Ara/はざま』
2007年トルコ製作(35mm/color/89min) 監督:Umit Unal/ウミット・ウナル
 トルコ語で「Ara」は「ギャップ」「あいだの場所」あるいは「探せ!」を意味する。本作「Ara」は、同時にお互いを愛し、裏切る4人の物語。彼らは互いに傷つけあうが別れることができない。彼らは彼らの過去と嵐のような関係に、またイスタンブルと彼らが帰ることのできない故郷との間に、そして心に潜めた秘密と彼らがつく嘘の間に、はたまた東と西の間に挟まっている。つまり、間の場所から抜け出せなくなっている。
 すべての映像は、あるフラットで撮られ、カメラが外に出るのはただ1度だけ。しかし、コマーシャルやテレビドラマなどが、さまざまな異なる映像として映画に忍び込んでいる。およそ10年わたって、物語はこうした映像の合間に語られる。

『Golge/影』
2008年トルコ製作(35mm/color/113min) 監督:Mehmet Gurell/メフメト・ギュレル
 友人同士のハリムとネヴザットがイスタンブルで出会う。ネヴザットは愛する女性と結婚しようとしており、ハリムに紹介する。女性の名はセルマ。家族の一部を自殺でなくし、何年の時を経てもその経験から逃れられないでいる。ハリムとの出会いを喜ぶセルマ。最初はともに楽しんでいたネブザットだが、徐々にハリムに嫉妬するようになる。セルマとハリムのあいだには何もない。しかし疑わしく映る。また、ハリムは彼女が自殺しないよう助けようとしていた。


『Havar』
2008年トルコ製作(35mm/color/80min) 監督:Mehmet Guleryuz/メフメト・ギュレルユズ
南ーーバトマン東部では、若い女性の連続的な自殺が起こり、関心が寄せられていた。これらの自殺はスカーフを被らない名誉の死であった。若い女性ハヴァルは、ある若い男性とうわさになった。そのうわさを聞きつけたハヴァルのいとこーー親が決めたハヴァルの許嫁ーーは、ハヴァルの父に彼女を殺すよう圧力をかける。いまや彼女は犠牲者であり、その父は刑の執行人となった。本作でデビューした監督は、この地域のアマチュアの俳優を起用。ハヴァルという言葉も、バトマン地域における叫び、助けを呼ぶ声、反乱で使われる言葉である。


『Made in Europe』
2007年トルコ製作(35mm/color, black and white/85min) 監督:Inan Temelkuran/イナン・テメルクラン
米軍がアフガニスタンに侵攻したとき、トルコ人の3つのグループがヨーロッパの街々(マドリッド、パリ、ベルリン)で集まっていた。それぞれのグループはヨーロッパにおけるトルコの小さなソサエティーである。彼らはそれぞれ模索している、ある国からある国へと幽霊のように生きた後、居住許可なしで生きることを。法的な立場は別として、彼らは男らしさと恥辱、不安定さと女性、親類関係と裏切り、優越感と自己憐憫のあいだに生じる一般的な葛藤に直面している普通の人々だ。彼らは移民世界の分裂を引き起こす。そして、彼らがヨーロッパに存在する“問題”ではなく、生きる“人々”なのだと我々に思い出させる。

『Nokta/点』
2008年トルコ製作(35mm/color/85min) 監督:Dervis Zaim/デルヴィス・ザイム
アフメットは、かつて犯してしまった罪に苦しみ、その罪をあがなおうと模索している。友人のセリムに強要され、彼は価値のある骨董のコーランの窃盗にしぶしぶ加担することになる。この犯罪は不必要で、なじみの薄い領域に彼を押し込む。犯罪とその罰を軸に進む映画は、有機的にトルコの伝統的な芸術書式ーカリグラフィーを物語に取り込んでいる。


『Sut/ミルク』
2008年トルコ・フランス・ドイツ製作(35mm/color/102min) 監督:Semih Kaplanoglu/セミヒ・カプランオール
高校を卒業したユスフは、大学入学試験に失敗した。詩を書くことが、彼にとって一番の情熱であり、彼の詩のいくつかは大して有名ではない文学雑誌に掲載されていた。しかし、彼の書く詩も、また彼らの売る価格の落ちつづけるミルクも、ユスフとゼフラの生活の足しにはなっていない。そんななか、ゼフラと街の駅長との浮気を目撃してユスフは当惑する。果たしてユスフは、先行きの知れない未来に対する不安に、また青春期をあとにし、痛みを経験しつつ大人への階段をのぼるという変化に対処することができるのか?


『Yumurta/卵』※ユーロイメージ・イタリア賞受賞
2007年トルコ・ギリシャ製作(35mm/color/98min) 監督:Semih Kaplanoglu/セミヒ・カプランオール
詩人ユスフは、彼の母親の葬儀に参列するため、長い時を経てはじめて彼の故郷へと帰ってくる。彼はその存在さえ知らなかった美しい娘
アイラにより、荒廃した家で歓待を受ける。その娘は最後の5年間、母の面倒を見ていた。そして母の遺言として、神聖な動物を生け贄に捧げるようにとユスフに告げる。田園地方の暮らしの受動的なリズムを嫌いながら、彼は親交のない古い友人たち、失われた記憶につまづきつつも遺言を実行しようとする。それは、生け贄が作られる場所、彼が憧れたもの以上に彼自身のルーツを理解する場所への旅だった。


 このほかにもドキュメンタリー部門として4つの作品が、また短編映画として8つの作品が同映画祭で上映されたようです。詳しくはこちら
 また、トルコ系ドイツ人でカンヌ受賞監督ファーティ・アクンの全作品も上映されている模様。うーん、その場に居合わせたい。いたら、ぜったい見に行くのになー。※興味がある方はリンクをクリックしてくださいね。

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