2008-07-22

学生選抜試験の心のチャンピオン

2008.07.22

 きょうはRadikal/ラディカル紙の7月20日付けのニュースから、ちょっと嬉しくなったお話を。

 見出しは『学生選抜試験における心のチャンピオン』。
 父親が病気になったため家族全員の暮らしを背負って働きつつ、初等および中等教育を学校外で修了した若者が、24歳で初めて受験したOSS(学生選抜試験=かつての共通一次のようなもの)で(全トルコ受験学生中)866番になった。

 Ali Tasar/アリ・タシャルは、メルシン県クムクユ市で2部屋の賃貸住宅に暮らす8人の子持ちのタシャル家の最年長の子ども。まず彼の人生を変えたのは、彼の父が胃潰瘍に冒されたときだった。父が数日働いては数ヶ月床に臥さなければならなくなると、初等教育の第7学年になろうかというアリと、3人の兄弟たちは学校に行けなくなった。家族全員の食い扶持を稼がなければならなくなったアリは、最初の仕事で3人の兄弟を再び学校にやった。このとき、彼自身は学校へ通う同級生を目にしては泣いていた。

 彼の人生を変える2番目のときは、友だちが「Acik Ogretim/オープンスクールでなら、学校に行かなくても学べるよ」と言ったときだった。
 「昼間はぶどう園や養蜂場で働き、夜は勉強に励みました。一度も留年することなく高校までの勉強を終えました。予備校には一度も行ったことがありません。でも、今年OSSに向けて準備しているとき、先生がアダナにある予備校に行くよう薦めてくれました。アダナにあるこの予備校は、わたしに無料授業を保証してくれたんです」

 すべての努力が実り、アリは今年、24歳で初めて受験したOSSのEsik Agirlık 2 (国語と数学の試験らしい)で343.812点を獲得。メルシン県で(OSSを受験した学生のなかで)21番目になり、トルコ全土でも866番になった。アリはいま、望む県の誰もが知っている伝統ある大学のひとつへ行ける。しかし、彼は大学選びでも兄弟のことを考えなくてはならない。

 アリの兄弟のひとり、トプラックは去年ウスパルタ・アナドル高校に合格した。22歳のディレッキはオープンスクールで初等教育を修了した。アイスンは今年アリとともにOSSを受験した。「ずっとアンカラ大学の法学部で学びたいと思っていました」と語るアリは、妹とといっしょに学べる大学を選ぶことになる(別の街で暮らすと高くつくので、兄弟いっしょの街で住める大学を選ぶということ)。


 あきらめないってスゴいですね。もちろん家族の協力もあったと思うけれど、大学に行きたいという気持ちをあきらめずに勉強を続けたからこそ、24歳にして大学生になれる機会が掴めたんだと思います。

 思うに、こういう話って日本でもたくさんあるんじゃないかと思います(事情や状況は多少違ったとしても)。ニュースにならないだけで。やれ「中学生がバスジャック」だの「娘が父親を刺殺」だの、妙なニュースばかり何度も何度も繰り返し報道する代わりに、こういう〈がんばっている若者〉の姿を伝えてほしい。きっと勇気づけられたり、自分もがんばろうって気になる人だっていると思うし。フツーの人が、フツーにがんばっている姿って、一番心に響くんじゃないかなーと思います。

 ※写真はいずれもRadikal/ラディカル紙の記事から。

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