2008.07.26
なんとか天国……というと、自動的に♪ナーナナナナー ナナナナーナナーナーナナナー ナナナナー♪という歌声とともにウィルソン・ピケットのでっかい口が思い浮かぶわたしですが、今回はトルコのフォークダンスがBGMになりそうなお話です(!?)。
先日、Radikal/ラディカル紙でこの記事を見つけてから時間を見つけてはずーっと翻訳し続けていた『チーズ天国』と題された記事。無類のチーズ好きなもので、タイトルと豊富な写真に心奪われてなんとか翻訳を完了しました。
「トルコは、津々浦々の家々で、また近代的な工場で製造されるたくさんのチーズにあふれた〈チーズ天国〉だ……」という文章で始まる記事には、33枚もの写真とともに、トルコのさまざまな地方で作られているチーズについて詳細に綴られていました。
最初に紹介されていたのは、ARDAHAN KUFLU PEYNIRI/アルダハン・キュフリュ・ペイニーリ(東アナトリア地方アルダハンのカビチーズ)。ふつう、それぞれのお家で食べる量を作っているそうで(地産地消ってやつですね)、あまり市場には出回らないのだとか。
つづいて、ARDAHAN IKIZDERE TULMU PEYNIRI/アルダハン・イキズデレ・トゥルム・ペイニーリ(アルダハンのイキズデレ村の皮入りチーズ)。トゥルムというのは動物のなめした皮のことで、チーズを長く保存するために昔から使われてきたそう。この地域の皮入りチーズは牛のミルクから作られるそうです(写真上のような状況下で)。
同じ皮入りチーズで有名なのがエルジンジャン(トルコ東部の街)のもの。こちらは羊のミルクから作られているそうで、水分と分離させたあと塩をまぶし、香りを醸成するために18時間空気にさらす……という作業を何度も繰り返すそうです(写真下:おじさんが手にしているのがエルジンジャンの皮入りチーズ)。
BINGOL'UN SALAMURA PEYNIRI/ビンギョルのサラムラ・ペイニーリ(ビンギョルの塩漬けチーズ)。家族が必要なぶんだけ作っている、という塩漬けチーズは、羊のミルクを太陽の光のもとで発酵させ、凝固してくるとリネンなどの袋に入れて水分を取り除くために搾りにかけられます。小さな塊に小分けされたチーズは塩水に漬けられて食べられる状態になるのを待ちます。
ERZURMU'UN CIVIL PEYNIRI/エルズルムのジヴィル・ペイニール(エルズルムの裂けるチーズ)。低脂肪の牛、または羊のミルクから作られるチーズで、撹拌の過程で脂肪分をとばして作られるそう。繊維状になっているところがミソ。裂けるチーズは、まずエルズルムで売られますが、イスタンブルやアンカラの市場でもお目にかかることができるそうです(低脂肪なので、ダイエット中の人に好まれているとか)。写真:垂れ下がっているチーズのカタチだけ見ても美味しそうです。
トルコはもとより世界の食卓においても欠かせないもののひとつとなったMANYAS PEYNIRI/マンヤス・ペイニーリ(マンヤス・チーズ=白チーズのひとつで、マルマラ地方にあるバクックエシル県にある街の名前をとってマンヤス・チーズと言われている。少なくともその歴史は200年。プロテインが豊富なため、同地域ではもちろん、ビジネスや政治、芸術、スポーツの世界でも推薦する人が多いのだとか。フランスの“ロックフォール・チーズ(ブルーチーズ)”と対をなす、100%天然のチーズとして作られているマンヤス・チーズは、胃や肝臓にやさしく、歯を白くすると信じられているのだとか(写真のチーズは一体何キロなんだろう???)。
KARS'IN GRAVYER PEYNIRI/カルスのグラヴイェル・ペイニール(カルスのグリュイエール・チーズ)。カルスで作られているこのチーズが、近年は大都市においても注目を集めているとか。特に、外国人観光客を主要顧客とするホテルからの需要が高まっているそうです。良いチーズの見分け方は、まず外側が固いこと。さくらんぼ大の孔があいていること。切ったときの断面の色が濃い黄色であること。そして口にしたとき鼻腔を焦がすほどの香りがすること、だそう。完全無添加のこのチーズ、カルスでは1キロ25〜30YTLで売られているそうですが、イスタンブルやアンカラだともっと高そう。。。
KONYA'NIN KUFLU PEYNIRI/コンヤのキュフリュ・ペイニーリ(コンヤのカビチーズ)。無脂肪の子羊のミルクから作られているこのチーズは、ふつうカラブナル、エレーリ、ジハンベイリといった羊飼いの多い地域で作られいます。自然にカビを発生させるため、発がん性のアフラトキシンの発生を防いでいるとか。
KAYSERI'NIN COMLEK PEYNIRI/カイセリのチョムレッキ・ペイニーリ(カイセリの陶壷入りチーズ)。新鮮な羊、あるいは牛のミルクを濾過した後、陶壷に詰められて作られます(TUMLU PEYNIRIと基本同じですが、詰める容器が違うよう)。チーズはまずリネンの袋などに入れられて水分を搾られ、塊を手で砕いた後塩がまぶされます(翻訳が間違っていなければ、このとき一定量のキンポウゲ科の植物も加えられるよう)。これを陶壷に詰め、壷の口を固形油などで閉じて洞窟や家の床下などで準備された湿気のある砂に埋められて熟成を待ちます。食べられるようになるのは約3ヶ月後。
MALATYA PEYNIRI/マラトヤ・ペイニーリ(マラトヤのチーズ)。これも、どうやらTUMLU PEYNIRIの一種のようですが……写真で見るとすごく美味しそうです。
VAN'IN OTLU PEYNIRI/ヴァンのオトゥル・ペイニーリ(ヴァンの香草入りチーズ)。ふつう、東アナドル地方で25種類の植物を使って作られる香草入りチーズは、ミネラルが豊富で消化不良に効くと言われているそう。使われる香草は、シルモ(野生のニンニク)、メンド、ヘリス、シヤボ、ミント、タイムといった植物(メンドやヘリス、シヤボがどんなものか、調べましたが分かりませんでした・汗)。春に山々で摘まれ、塩漬けにされたあとチーズに加えられるそうです。香草入りチーズは他の地域でも作られていますが、ヴァンのものが最高品質との評判が高いようです。
CEVIZLI KASAR PEYNIRI/ジェヴィズリのカシャル・ペイニーリ(カシャル・チーズ)。トルコに旅行すれば、おそらくホテルの朝食で前述の白チーズと、このカシャル・チーズが食べられるはずです。それくらいポピュラーなカシャル・チーズですが、アンタルヤ県のジェヴィズリのカシャルはちょっと違う。自然に囲まれて育った地鶏ならぬ地牛や水牛のミルクから作られるチーズは、ふつう9キロのミルクから1キロのチーズを作るところ、15キロのミルクを使って1キロのチーズが作られるという高級品。塩の含有量も低く、ワインの甘みを味わうときに最適だそうで、チャイジュマ乳業工場では「Le Gout de Vin」というブランドでワインチーズとして売りに出しています。同社の社長によると「白チーズとモツァレラチーズを混ぜ合わせて作られた製品で、ワインにぴったり」。150グラム入りのパッケージで、3YTL程度で売られているそう。
SAMSUN'UN CIG KESIK PEYNIRI/サムソンのチー・ケシッキ・ペイニーリ(サムソンのフレッシュ凝固チーズ???)。トウヒ(マツ科の常緑針葉樹)に囲まれた高原で、タイムなどの多彩な牧草を食べて育った羊のミルクから作られます。このチーズには県外からの特別注文があり、近年は国外からの注文も舞い込んでいる模様(←その場合は、もうお家の手作りじゃなくなるんでしょうか???)。
TRABZON'UN TELLI PEYNIRI/トラブゾンのテルリ・ペイニーリ(トラブゾンのワイヤーチーズ/繊維チーズ)。東黒海地方の高原で育った牛から搾られたミルクが主要成分。カシャル・チーズに似た黄味がかった色で、塩分少なめの繊維状に分かれたチーズ。温めると伸びる。おそらく、前述のジヴィル・チーズに似た感じと思われます。同チーズの職人さんによると「伝統的にトラブウゾンや、同郡の村々の女性たちによって作られているが、近年は工場での生産も増えている」そう。四季を通じて作ることが可能なチーズですが、食べるのに一番適しているのは冬だそう。
EZINE PEYNIRI/エジネ・ペイニーリ(チャナッカレ地方のエジネ・チーズ)。カズ山の北や東のエリア、エジネやバイラミッチ、アイヴァジュックの自然と湧き出る泉のなかで育てられた羊、ヤギ、牛のミルクから作られるチーズ。トルコの最も美味しい白チーズとして知られ、その名を聞くと誰もがチャナッカレを思い起こすエジネ・チーズは、特定地域で生産されたミルクを使用していることが保証されているそう(トルコ特許庁により、地域を示す特許証明書も発酵されている)。また、エジネ・ブランドには協会が存在し、その協会のエンブレム〈EPD〉のないチーズは、本物ではないとされます。ちなみに高品質のエジネ・チーズは明るい黄色で、固さは中くらい。チーズには少しだけ小さな孔があるはずで、脂肪を成分とするクリームの味がするそうです。
後半につづく。
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