2009-07-06

Güneşi Gördüm / わたしは太陽を見た

2009.07.06

 前の日記にも書いたとおり、すごく疲れを感じた今週末はどこにも出かけず、金曜日の昼過ぎから日曜日の夕方まで、ずっと家に閉じこもっていました。金曜日にできなかった復習を土曜日にやり、少し予習も。そして、日曜日の昼、大家さんたちといっしょに今年3月に公開されたというMahsun Kırmızıgül / マフスン・クルムズギュル監督作『Gürnşi Gördüm / I saw the Sun』という映画を見ました。

 前に、エチオピア人の友だちからも「いいよ〜、一回見てみな」と推薦されていた本作は、PKKとトルコ軍の衝突が続くトルコ南東の国境付近に暮らす人々を描いています。村に暮らす若者のなかにはPKKに身を投じるものもあれば、トルコ軍兵士として任務を全うするものもいる。ある日、夜中にドアを叩くものがいて出てみると、PKKに身を投じた一家の長男。父親、母親は久しぶりの再会を喜ぶけれど、弟は複雑。そして兄にこう言います。「ある日、戦いでボクたちが相対したら何が起こるんだ?」兄は弟に「お互いに殺しあえば、俺はテロリストとして、お前たちは国に命を捧げた兵士になる」と言う。緊張の走るシーンでした。

 まさしくその晩、PKKとトルコ軍の衝突があり……。これを機に村は潰されることとなり、村人たちは強制的に移住を迫られます。ある家族と親戚のいるノルウェーへ。別のふたつの家族はイスタンブルへ。イスタンブルへと引っ越した家族のひとつは盲目のおじいちゃんと父、母、障害のある娘を含む5人の娘と待望の生まれたばかりの息子の9人。イスタンブルという大都会での暮らしは順調に滑り出したように見えたけど、母親が入院したことで事件が起きてしまいます。何でもキレイにしてしまう魔法の箱、洗濯機が大惨事を引き起こしてしまうのです。

 もうひとつの家族は兄と弟のふたり。弟は村に住んでいる頃からトランスジェンダーの傾向があったのだけど、これがイスタンブルという大都市で花開く。兄は弟のこうした性癖をよく思っていず、常に“男らしくあること”を求めるのだけど、イスタンブルで初めて、自分と同じ種類の人たちと出会った弟は、自分を解放する道を歩んでいく……。

 クルド人問題、ということもできますが、わたしは“争いに巻き込まれた村人たち”の物語として映画を鑑賞しました。何世代にも渡って住み続けてきた村を追われる、故郷を奪われる、という感覚。わたしは自分から故郷を離れたけれど、それでも生まれ育った村がなくなったら根っこがなくなったように感じるだろうな、と思います。
 互いの理由が何であれ、殺しあううことは負の連鎖に他ならない。それになす術もなく巻き込まれる村人たちにできることなど何もない。抗いようがない。何も多くを望んでいるわけではないのに。ただ、昔ながらの暮らしを、昔から暮らしてきた場所で営みたいだけなのに。※写真は監督のマフスン・クルムズギュル氏

 映画を見終わったと、あまりにも気持ちが重く沈んでしまい、またボーッとしてしまいましたが……、

 夜はジーハン(大家さん)のお母さんのアパートの庭で、仲良し住人が集まってラフマジュン・パーティー。ディヤルバクル出身という女性が自家製ラフマジュンのネタと、サラダを作り、これをお店に持っていって焼いてもらったのですが、これが絶品! ふだんの2倍は食べてしまいました〜♪

2 comments:

  1. この映画、日本では公開されないのかなぁ・・・
    監督も男前!
    それと、シリアスなのもいいですが、お笑い系も日本で見たいです。。。

    お疲れはだいぶ取れましたか?
    私はまだ時々心がサラエボまで飛んでいくので、なかなか回復しません。

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  2. アイシェさん

    どうでしょうね〜??? この監督の前作“Beyaz Melek / 白い天使”という作品も老人ホームが舞台だったそうなので、結構社会派なのかもしれません。

    お笑い系というと、最近ならRecep İvedik / レジェップ・イヴェディッキですね。でもぉ〜作中のトルコ語はアルゴ(スラング)ばっかで理解不能です。喋り方も聞き取りにくいし・汗。

    お笑い系は、理解できれば楽しいけれど、まず理解するまでが大変です(K先生も昔は志村けんみたいなスラップスティックが面白かったけど、最近は喋りで笑わせるタイプで笑えるようになったとおっしゃってました)。

    それと、ありがとうございます。
    週末ゴロゴロしたので、すっかり疲れは飛びました。
    アイシェさんの社会復帰をお祈りします(別にしなくてもいいかな〜という気もしますが。夏はみんな心がどこかに飛びますから)。

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