2008-05-13

不動産王、オスマン帝国式庭園をつくる

2008.05.13

 〈オスマン帝国の庭〉って、どんななんだろう?
 それってトプカプ宮殿とかで見る感じの庭なのかしら?

 突然、そんな疑問が浮かんだのは5月9日付けのZaman/ザマン紙で『オスマン帝国の庭、アメリカでオープン』という記事を読んだから。 アメリカ・ミズーリ州にある植物園〈ミズーリ・ボタニカル・ガーデン〉に“ベイクウェル・オスマン帝国式ガーデン”という庭があるのですが、今月16日にその庭がリニューアル・オープンするのだそうです。

 さっそく同植物園のウェブサイトを検索してみるとありました、Bakewell Ottoman Gardenという名前の庭が……(ついでにJapanese Gardenも発見っ!)。 同ウェブサイトによると、ここにある4分の1エーカーの壁(塀?)に囲まれた庭は、オスマン帝国時代の庭づくりの伝統が残る数少ない庭のひとつだとか。緑にあふれ、咲き誇る花やハーブの香り、水の流れるさわやかな音が訪れる人の感覚を刺激し、またいろんな種類の噴水やトルコで作られた置物などが正統派のオスマン帝国式庭園を物語る……とあります。
 また、同庭園のリニューアルを報じたザマン紙にも「伝統的なオスマン庭園の建築的特徴を有するベイクウェル・オスマン帝国式ガーデンにある泉、東屋、そして噴水のそばには約9000種類の花、植物、木々が植えられている」と書かれていました。

 んー、なかなか興味をそそる紹介文です。
 あとアメリカの植物園にオスマン帝国式の庭があるってことにもビックリしました。西欧社会ではとかく認められにくいトルコなのに……。だからなのか、この庭のオープニング・セレモニーには在シカゴのトルコ総領事も参列する予定だとか。さらに、Prof. Dr. Nurhan Atasoy/ヌルハン・アタソイ教授の「トルコの庭園文化が西欧に及ぼした影響」と題した講演会もある模様。なかなか気合いが入っています。

 ところで、なぜ“ベイクウェル”という名前がついているのかと言うと……(ややこしいので間違っているかもしれませんが)、オスマン帝国第30代スルタン・マフムト2世の母親であるナクシディル・スルタンの父方の親戚筋にあたるエドワード・L・ベイクウェル氏がアメリカにオスマン帝国式の庭園を作れという遺言を残したことに由来しているようです。エドワードさんの子孫のテッド・ベイクウェルとアンダーソン・ベイクウェル兄弟が何年も働きかけ、その遺言をミズーリ植物園に実現させたのだとか。
 どうしてスルタンの妻の父方の親戚筋がベイクウェル家なんだ? という疑問もあるかもしれませんが、ナクシディル・スルタンはもともとハレムに仕えていた奴隷身分の女官でフランス人だったと言われています(近年の研究ではコーカサス出身という新説もあり/Wikipediaより)。

 あ、エドワード・L・ベイクウェルで検索したら、ヒットしちゃいました。こちらはセントルイスで指折りの不動産会社のようです。その名もそのまんまエドワード・L・ベイクウェル, Inc。セントルイスでは不動産イコール、ベイクウェルってぐらいすごい会社みたいです。だから在シカゴ総領事も来るんですね、きっと。

No comments:

Post a Comment