2008-02-22

訴訟好き?

2008.02.22
(2並びでニャン、ニャン、ニャン。猫の日だそうで、今日は)

 数日前から気になっていました。どうやら、最近トルコのエルドアン首相は訴訟がお好きなようです。


 発端は、2月17日にVatan/ヴァタン紙で見つけた『Erdogan 90lara bakip sukretmeli/エルドアンは90年代を見て感謝すべきだ』という記事。「メディアを非難し続けているエルドアン首相が、90年代の大胆不敵なメディアに直面していたらどうなっていたか。もし、こんなことをエルドアンにさせたとしたら!」と皮肉調で続く記事には、新聞記者や漫画家たちがエルドアンの攻撃の的になっていると書かれていました。どうやら首相は自身を揶揄ったり、批判したりする記者や漫画家たちを相手に損害倍書を起こしまくっているようなのです。
 Vatan/ヴァタン紙は、90年代に彼等が揶揄りまくったトゥルグット・オザルやその家族、シュレイマン・デミレル、トゥルグット・ユルマズ、タンス・チンレル、ネジメット・エルバカンなどを例に出し、彼等はエルドアンほど厳しい態度はとらなかった、訴訟なんか起こさなかった、オザルにいたっては自身に関する(批判)漫画を集めていたのに……と書いています。

 続く2月20日、同じくVatan/ヴァタン紙に『エルドアン、この戯画のため20,000YTL(日本円で180万円相当)を要求』という記事が。2週間前、レマンという雑誌の表紙に使われたコミカルな合成写真に対して、エルドアンが損害賠償訴訟を起こしたというのです。でも、同じVatan/ヴァタンから出ている記事だし、大袈裟に書いているのかも・・・と思っていました、今日までは。

←これが問題となっている雑誌の表紙

 ところが今日、Radical/ラディカル紙を読んでいるとPerihan Magden/ペリハン・マーデン女史のこんなコラムを発見!
 『親愛なる訴訟好きのエルドアン首相殿』
 そう見出しに書かれたコラムには、エルドアンがCHPのオンデル・サヴ書記長に対して30,000YTLの、また同コラム作者であるマーデン女史に対して10,000YTLの損害賠償訴訟を起こしたと書かれいます(マーデン女史の先週水曜日に掲載されたコラム『首相は本当に仕事が好きなのか?』に対しての損害賠償)。ここで、マーデン女史は雑誌レマンに対する訴訟にも触れ「あれが侮辱的だとされるなら、これからあなたの訴訟中毒で裁判所は忙しくなるんでしょう」と綴っています。

http://www.radikal.com.tr/haber.php?haberno=248076

 さらに、かつてエルドアンが “読んだ詩“ によって刑務所に送られたことに触れ、わたしは思想の自由、表現の自由の観点から、あなたを擁護したのに、このRadical/ラディカル紙で! とも述べています。また前述のVatan/ヴァタン紙同様、記者たちやコラムニストたちはかつての政治家たちに対してひどい批判を書いたけれど、自分を含む誰一人、誰一人裁判所になんか送られなかったと。
 そして、こう締めくくっています。「もし裁判にあなた(エルドアン)が勝ったら、賠償金はわたしが身銭を切って払います。わたしの社長じゃなく、わたし自身が!」と。そして「わたしが払うお金は、あなたの “Hakiki Oz Demorrat/真実の民主主義”って名前の空虚な空想雑誌には使わないでね」と。

 政治家なんて批判、批評されて当たり前の職業です。だって公僕の最たる存在だもの。それだけ一挙手一投足が注目されるからこそ、新聞や雑誌のネタになるんです。ジョークにされるぐらいなら笑って流しとけばいいぢゃないですか。本当に的を得た批判なら、しっかりと耳を傾けるべきだし。いちいち目くじら立てる必要ない。なんでエルドアンさんは、こんなに怒ってるんでしょうか? むしろその方が不思議です???

2008-02-21

月にウサギを不思議がるトルコ

2008.02.22

 きのうHurriyet/ヒューリエット紙を読んでいたら、気になる一文を発見。

 『中国人は、月に何を見る?』


 「月を見るとき、みんなそれぞれ違ったものを見る。ところが13億の中国人は、ただひとつのものを見ている。

  月を見ないものはいない。そして、皆がそれぞれに何かを見る。想像力によって形作られる何かを。(中略)けれど、中国人たちは月を見るとき、皆同じものを見ているのだ。
  そう、みんな同じものを。13億の中国人が、どうして同じものを見るのかは分からないが、特に年老いた人たちに尋ねればあなたにある物語を語ってくれるだろう。わたしたちもその物語を知っていたら、どうして皆が同じものを見るのか分かるだろう。
 昔から現在まで続く物語は、中国において東世界のサンタクロースの物語のようによく知られている。これによると、月にはとても心のやさしいウサギが住み、いつも餅を作って世界のよいこたちに届けている。この物語により、中国の子どもたちは月を見ると腕に餅を抱えたウサギを見ようとする。見ようとがんばって見ることができる。実際、この理由から中国占星術ではウサギの年はすべてが良く、成功に満ちた年とされている。」


←これが月にいるウサギの説明画像(Hurriyet/ヒューリエット紙より)







 ちょ〜っと待ったぁぁぁっ!
 それ、中国人だけじゃないよぉ〜!
 わたしたち日本人もウサギを見てるよー。ま、見てるのは腕に餅を抱えたウサギじゃなくて、餅をついているウサギですけど。

 で、気になりました。なんでわたしたちは月に餅つきウサギを見るようになったのか? 誰から聞いたんだっけ、この話???

 インドの仏教説話集ジャカータのなかにはウサギが火に身を投じて仙人(帝釈天)に布施し、それに感心した仙人がその姿を永遠に月に置いたという話があり、月の模様がウサギに見えることの発祥であるとか。また、古代中国においては月でウサギが不死の薬ついているという話があり、それが日本に伝わって“餅をつく”になったという説も。ちなみに法隆寺にある天寿国曼荼羅繍帳残欠には月とウサギ、薬壷が描かれているそうで。

 たぶん仏教や中国文化とともに上記のようなお話が日本に伝わり、薬が餅に転化して餅つきウサギになったんでしょうね。でも、↑上記の物語なんてまったく意識していないのに、月とウサギはセットのように思っているわたし。完全に刷り込まれています。

 この記事のトルコ人読者のひとりは「みなが違ったものを見るのが当然」って書いてたから、トルコには月に関するお話はないんでしょうね。ちなみに、イスラム教ではウサギは食禁忌(ハラム)だそーで。キリスト教世界では誘惑のシンボル、ユダヤ教ではイスラム同様食禁忌なのだとか。お国が違えば、見るものも違う。摩擦の多い日中間ですが、つながりはやっぱり深いですね。

やさしいイスマイルさん

2008.02.21
(2008.02.18の日記から)

 トルコ中が大雪に見舞われている!……そんなニュースにまぎれた小さな記事が、ほんわか気分を運んできてくれました。
http://www.hurriyet.com.tr/gundem/8252408.asp?top=1

 ヒューリエット/Hurriyet紙に掲載されていたニュースのタイトルは、『人間性の授業(insanlik dersi をどう訳したら良いのか分からない・・・)』。

 これはイスタンブルのベイケントという場所にあるマンションのカプジュ(管理人)イスマイル・オルチさんのお話です。
 冬、雪が振ると鳥たちは餌を見つけられません。庭に置いたパンの欠片も、数分のうちに雪に覆われてしまうから。そこで、このイスマイルさんは、パンを木の枝にくくり付けて、鳥たちが餌を見つけやすいように、餌が食べられるように工夫しているというのです。
 マンションからゴミとなって出るパンを、猫や犬や鳥たちにやるため、取り分けているというイスマイルさんを見て、何人かのアパートの住人たちは餌となるものを分けて出してくれるようになったそうです。
 イスマイルさんの8歳になる娘さんは身体障害のため、四つん這いになって歩かなくてはならないので、衛生的な面から考えても家では動物を飼えません。そのぶん、イスマイルさんは通りにいる生き物たちに愛情を注いでいるのだとか。

 別に事件でもなんでもない、どうってことない話だけど、生き物たちのために餌のやり方を工夫してあげるイスマイルさんの姿、またイスマイルさんを見て餌となるものを取り分けて出すようになったアパートの住人の姿は、なんともあったかいニュースとしてわたしに届きました。

 自分以外の人や生き物のために、自分には何の得にもならないことをするって実はすごく難しい。時間がないから、忙しいから、関わりになりたくないから、そんな言い訳で自分を納得させて、誰かのためにできることから自分を遠ざけてしまいがちな毎日。でも、イスマイルさんほどじゃなくても、何かできたらきっと自分も幸せな気持ちになれるんだろうなぁと思います。

 写真の人がイスマイル・オルチさん(39歳)

ピノキオじいちゃん

2008.02.21
(2008.02.14の日記から)


 そう言えば、語学学校トメルの先生が言っていました。「昔から、黒海沿岸地方は鼻の長い人が多いことで有名なの。鼻の長さを競うコンテストもあるのよ」と。先生も黒海沿岸の街・サムソン出身。別に鼻は長くなかったけれど。

 きょうYeni Safak/イェニ・シャファク紙で見つけたニュースのタイトルは、ズバリ『ピノキオじいちゃんは、クムルに!』。
 2月12日付けで紹介されている記事を読んでみると・・・
 「ご存知のとおり、リゼ(紅茶の産地として有名なトルコ黒海沿岸地方の街)で1998年と2000年に行われた“Uluslararasi Uzun Burun Yarismasi/国際長い鼻コンテスト”において8.8センチの鼻で1位となり、ギネスブックにも載ったアルトヴィン(リゼのさらに東、グルジア国境にも近い街)のメフメット・オズユレックさん(60歳)は、世界で最も長い鼻を持つ人として知られていました」……が、「以前からピノキオじいちゃんとして周りの人にはおなじみだったメフメット・ギュルさんの鼻が、計測により14センチであると判明しました」。

 えー!!! すごい、すごい、14センチ? すごいーっ!

 でも、ご本人は“長い鼻コンテスト”に出場したこともなく、自分が実質世界チャンピオンであることをご存知ないのだとか。
 そこで記事はこう続きます。「クムル(サムソンとトラブゾンの間にあるOrdu/オルドゥ地方の小さな街)の人がコンテストで1位になってギネスブックに載ることを望んでいるとしたら、わたしたちはピノキオじいさんに手を差し伸べ、コンテストに参加するよう促しましょう。世界的に有名なギネスブックにクムルの名を載せましょう。クムルのピノキオじいちゃんは、80歳の独身者。彼が一人で暮らしていること、あらゆる助けが必要な人であると知らせたいんです」と。

 つ・ま・り、ピノキオじいちゃんをギネスブックに載せ、街を有名にするとともに、さらには年老いた独り者のじいちゃん自身を有名にして、手助けが必要なじいちゃんのことを知ってもらおう、ってこと? まぁねー、写真で見る限り、ピノキオじいちゃんは結構かわいらしい顔をされてますし、これで嫁が来たら言うことないんだけどね。

 写真は、そのピノキオじいちゃんことメフメット・ギュルさん(右)、トルコ地図(トルコ政府観光局より拝借)〜矢印右から現チャンピオンがいる街・アルトヴィン、長い鼻コンテストが行われた街・リゼ、そして正真正銘長い鼻世界チャンピオン、メフメットじいちゃんが住んでいるオルドゥ(この地方にある人口2000人程度のクムルという町にじいちゃんは住んでいるよう。黒海沿岸から内陸へ33キロ、ふたつの山に挟まれた谷間の村のような場所でしょう、きっと)。

イスタンブルに海中ホテル

2008.02.21
(20080.02.13の日記から)

 2月13日付けのYeni Safak/イェニ・シャファク紙によると、2010年、イスタンブルに海中7階建てのホテルが誕生するそうです!
http://www.yenisafak.com.tr/ekonomi/?t=13.02.2008&c=3&i=99426

 記事によると、タンルヴェルディ・ホールディングによって建設される海中ホテルは、ベシクタシュ・エリアのドルマバフチェ宮殿と海洋博物館(記事では〈Deniz Muzesi〉となっているけれど〈Military and Maritime Museums〉のことと思われる)の間の海中にお目見えするのだとか。

 ところで、イスタンブルは〈2010年ヨーロッパ文化首都〉に認定されています。ん? “ヨーロッパ文化首都”? いまだEUに加盟もしていないトルコの街だけど、なぜか“ヨーロッパ文化首都”??? みなさんはご存知だったしょうか?(わたしは知りませんでした)

 そもそも“ヨーロッパ文化首都事業”というのは、EUの文化観光政策から出てきたもので「特定の“ヨーロッパ”の1都市を1年間“ヨーロッパ”の文化首都に指定し、指定された都市には自国民はもちろんEU諸国、さらにはEU外からの観光客に“ヨーロッパ”文化に親しむ機会を増やしてもらおう、文化観光を通じて都市のイメージアップや経済活性化を計ってもらおう」というもの(うーん、ヨーロッパという言葉に無理があるな・・・)。1983年にギリシャの文化相が提案し、1985年にギリシャ・アテネからスタートしています。

 いずれにせよ、この海中ホテルプロジェクトは、文化首都事業に間に合わせるべく2010年のオープンを目指しているようです。
 記事によると、フィジーに今年海中6階建てホテルがオープンするそうなのですが、こちらのホテルは部屋から珊瑚礁が見えるような造りなのだそう。そりゃーねー、南太平洋の美しい珊瑚礁に囲まれた海の中だったらキレイでしょうね〜♪ でも、ボスフォラス海峡は大丈夫なのかしら? さすがに珊瑚礁はないですし。海流も速いって言うし、変なものが漂っていたりしないのかしら?

 別に南国リゾートの街じゃないのだし、海中に・・・なんて無理しなくて良いのでは? と心配しますが事業はもう始まっているようですから、うまくいくように祈ります。セラーム・アレイキュン



・このホテルを報じたイェニ・シャファク紙に掲載されていた海中ホテル(イメージ/もしかしたらフィジーのホテルのイメージかもしれませんが)
・ホテルができるのはこのあたり(赤い→が指している、赤丸エリア )

2008 Introduction Film of Turkey

2008.02.21
(2008.02.06の日記から)

 ちらちらとトルコの新聞を見ながら見つけたトルコ紹介ビデオです。トルコでは毎年、文化観光省がトルコのさまざまな、そして人気のある観光地やアクティビティなどを「これでもかーっ!」と見せてくれる観光勧誘ビデオを作成しているのですが、その今年バージョン(2008)がこれ。

http://youtube.com/watch?v=liJ4V6Is1g0

 まずはゆっくりとカッパドキアから始まって、場所は人気のリゾート地アンタルヤへ。さらに全国各地からざっくざっくと出てくる歴史遺産などが紹介されています。最後は、トルコと言えば……のイスタンブルで締めくくり。何度見てもこの街は美しいなーと感じます。やっぱり“海”があるって素敵ですね。
 遠目で見る限り、ジャーミーをはじめとする歴史的建築物もたくさんあって本当に素敵な街なのだから、歴史的に意味のある場所をホテルなんかに売ったりしないで、しっかり保存、調査、研究に励んでほしいものです。

 ところで、このビデオはアメリカから撮影班が来たようなのですが……どうしてなんでしょう???




 写真はビデオをピクチャリングしたものです。イスタンブルのルメリ・ヒサルと、同じくイスタンブルの夕陽?をバックにしたクズ塔。ひとときの疑似旅行を楽しませてくれるこのビデオ、ぜひご覧あれ。

100年前

2008.02.21
(2008.02.01の日記から)

 Hurriyet/ヒューリエットのウェブサイトで見つけた100年前のイスタンブル。
http://fotoanaliz.hurriyet.com.tr/GaleriDetay.aspx?P=1&cid=9419&rid=4369



 写真1枚目は100年前のKiz Kulesi/クズ・クレシ。
 そして2枚目が、100年たった現在の姿。
 ※上記リンクでは、他にもたくさんのBefore/Afterが楽しめます♪

 このサイトにはほかにもいろんなbefore/afterがあるのですが、なかでもクズ・クレシ(というか、そのバックに見える街の姿)には隔世の感があります。写真がモノクロとカラーで、しかも現在の姿はきらめく夜景なので違って見えるのかもしれませんが。でも、よーく考えたら100年前ってまだ“トルコ共和国”じゃなくて“オスマン帝国”なんですよね。

 きのう友人に「20年なんてたいしたことない時間ですよね」と書いたのですが(実際10年前なんて、ついこの間みたいに感じるし)、100年ってやっぱりすごい時間なんだなと。。。

 調べてみると100年前の日本は明治41年。第1回のブラジル移民船・笠戸丸が神戸港を出航してます。トルコ(オスマン帝国)では青年トルコ党による革命が! いまや斜陽、真っ逆さまのフォードが、あのT型フォード(写真3枚目〜ウィキペディアより)を世に送り出したのも、この年のことでした。

煙草もダメ、アルコールもダメ。


2008.02.21
(2008.01.23の日記から)

 先日、喫煙大国トルコで禁煙法なるものが可決したって話がありました。そして本日付けのHurriyet からはこんなニュースが・・・。
http://www.hurriyet.com.tr/gundem/8081429.asp?gid=48&sz=15633

 いま、トルコのテレビ・ラジオ放送を管理・監督する組織RTUK(Radyo ve Televizyon Ust Kurulu)において、新しい放送コードについての協議が行われているそうなのですが、放送コードの草案に「アルコール、タバコ製品およびドラッグ使用の誘因となる種類の放送をしないこと」という条項が加えられたそうです!!!

 記事によると「この草案が放送コード化されると、国内はもとより外国映画やドラマシリーズにおいて、アルコールを飲むシーン、酔っ払いの光景、ドラッグやタバコを吸う人の姿が消えることになる」」とか。
 また、この条項によって「連続ドラマのシナリオは制作途中で検閲を受けるのか受けないのか、この禁止事項と相対するハリウッド映画などのシーンがどのように上映されるのかが心配されている」そう。
 ちょっと笑えるのがこの記述。「シナリオ上必要なグラスのなかのアルコールにモザイクがかけられて上映・放送されるのか、あるいはそのシーンをカットして見せるのか」協議されている……えぇ〜っ! アルコールにモザイクって どう考えても変でしょう???

 し・か・し・・・良くないものだからと言って上映や放送から追放するようなやり方は好みません、わたし(映倫のモザイクも不要と思っている)。
 むかし、高校生の頃、アメリカではゴア元副大統領の奥さん(ティッパー・ゴアさん)が中心となってハードロックやヘヴィメタルを有害な音楽とし、歌詞検閲の大々的なキャンペーンを張ったことがあるんですよね。でもって、青少年に有害と思われるレコード、CDにはステッカー(直訳すると“成人指定 露骨な歌詞”ってな感じのステッカーです)を貼ることが義務づけられちゃった。当時は、ゴアさんのこともよく知らなかったけど、その奥さんのティッパー・ゴアさんには相当な敵対心を感じました。

 臭いモノには蓋をする方式とでも申しましょうか(臭いか、臭くないかは見方次第なんだけど)。でも、蓋をしたからってなくなるもんじゃなし。やるなら、もっと徹底的に国内でタバコは売らねー、酒も売らねーぐらいの根性でやってほしいもんです(反対だけど)。
 あー、なんかこんな記事を読むと“迷走トルコ”な感じがして不安です。大丈夫かぁ〜トルコぉぉぉぉぉっ!

イェニ・イェニチェリ

2008.02.21
(2008.01.22の日記から)

 1月21日付け、Hurriyet/ヒューリエット紙に載っていたニュースです。

 『Topkapi'nin yeni yenicerileri hazir
  トプカプヌン・イェニ・イェニチェリ・ハズル
  トプカプ(宮殿)の新しいイェニチェリ 準備万端』

 新しいイェニチェリ? イェニチェリというのはオスマン帝国時代に君主の直属兵力として組織された常備歩兵軍のこと。ちなみにイェニチェリとは、イェニ(新しい)チェリ(軍隊)って意味です。だから「新しく新しい軍隊の準備ができた」とも読めますね(笑。

 なんで今頃、オスマン帝国のイェニチェリ?
 記事によると、トルコの文化観光省がトプカプ宮殿で働くスタッフ(たぶんお客さんと接する人たち)に着せるため、新しくイェニチェリの衣装を準備させたのだとか。この衣装のデザインのため、最初は高名なトルコ人デザイナーのファルク・サラチ氏に依頼していたようですが、途中で意見の相違が噴出!!! (うーん、ありがち・・・)結果的にアンカラにある技術高等専門学校(Ankara Orgunlasma Enstitusu)に任せたようです。もちろん丸投げ……ではなく、専門の学者、オスマン帝国時代の研究者からなる委員会を設け、技術高等専門学校で作られた衣装を委員会が承認、晴れてお披露目となった模様。「来週にも宮殿で働くスタッフたちに着せる」と書かれているので、これからトプカプ宮殿に行く……という人たちはぜひ注目してくださいねー。ちなみに、いまのところ衣装は男性用と女性用の2種類あるよう。どんな違いがあるのかも注目ですー。



 写真は、記事に掲載されていた新しい衣装(だと思われる。女性用?)
 2番目の写真は、ファルク・サラチ氏のファッションショーのひとコマ。

 ちなみに今日(2008.02.21)のネットニュースでチラッと見たところ、他の観光歴史施設でもトプカプ宮殿にならって昔の衣装をスタッフが着用するようになるそうです。楽しみ♪

病気になったトルコ人は・・・


2008.02.21
(2008.01.17の日記から)

 きょうは、たまたま見つけたMilliyet新聞からの記事をご紹介しましょう。読んでちょっと笑ってしまったので…… 。

 Hasta olan Turk erkegi once annesine danisir.
 病気になったトルコ人男性は、まず母親に相談する

 わはは、この見出しが興味をそそります〜。
 この記事、わたしなりに翻訳したので、そのまま載せてみます。

 『トルコ社会の風邪(インフルエンザ)に対する態度に関して行われた調査によると、医者に“行くのは遅い”、男性は病気になるとまず母親に電話する。

 ある市場調査により、トルコ人男性は風邪の引きはじめにおいて母親に相談することが最も多いことが明らかになった。 エズザジュバシュ薬品株式会社が、風邪に関する社会一般的な知識水準と習慣を明確にする目的である調査を行った。イスタンブルの18歳以上、合計203人の参加によって行われた調査は、トルコ人が風邪をひくと、医者に行くためには病気がすっかり悪くなるまで待っていること、風邪の引きはじめには医者に行かず、自分で決めた薬を飲んでいることが明らかになった。

 医者には行かない
 調査に参加したうちの39%は、風邪をひいたとき、まったく医者に相談しないと言い、この傾向は特に男性のあいだでより一般的であると分かった。参加者の30.5%は、風邪をひいたとき、家族のなかで母親に相談すると言い、この傾向は(女性より)男性のほうがより強いことが明らかになった。

 女性は言う、男性は大袈裟である
 調査は、女性が風邪をひく前、そしてひいた後も、その対策としてオレンジやグレープフルーツ、レモンなどの自然作物を摂ることが明かにしている。調査に参加した女性たちの大部分は、男性が病気を大袈裟に言うと語った(以下略)。』

 ……と、まぁ、こんな感じなんですが、風邪を引いたら“まず母親に電話する”ってのが、笑っちゃいました。もともとトルコ人は家族の絆がとーっても強い。お母さんの存在もイタリアやスペインのそれに近く、何をおいても“母親”というのは一番強くて、一番信頼のおける存在なわけです。日本でも男女問わず“母親”は特別な存在だと言えると思いますが、その密着度が全然違うんですねー(だいたい1日に何回電話するんだよっ……というくらい電話をする回数も多い)。

 まぁ、調査って言っても対象はわずか203人。これでトルコ人全体の傾向を推し量るのはちょっと無理があるような気がしないでもないですが、最もヨーロッパ的な思考回路を持っていそうなイスタンブルの男女でこの結果ですから。なんだか想像通りの姿が調査に表れていたので笑っちゃいました。……ってか、これが新聞記事になるってことは、トルコ国内でもトルコ人男性のイメージってこういう感じなんでしょうか??? 「男性は大袈裟」という女性たちからのコメントも、そうそうそうそうっ!と大きく頷きたい感じです。

 お母さんの存在が大きいってことはステキなことだと思うけど(マザコン、というひと言では片付けたくない)、病気になったらまず病院へ行ったら?……と思わないでもありません。病院で注射の1本、点滴の1本でも打ってもらったら随分楽になるし、風邪の治りも早いと思うんだけどなー。
 そうそう、そう言えば、先日わたしがダウンしたときに点滴を打ってもらった話をしたら、トルコ人の知り合いは「いままでで点滴をしたことは1回か2回しかない」と言ってました。わたしなんて、風邪を引くたび打ってる気がするけど。。。このへんは医療制度の違いとかも関係しているんでしょうか?

 写真はその記事中にあったもの。どーみても男性を情けない存在にしたい、揶揄したい、という意図があるように思えてなりません。

YouTubeで見つけたトルコの歌


2008.02.21
(2008.01.15の日記から)

 わたしがトルコ語を勉強しているTOMERのHitit 2というテキストのなかに出てくる“Ulfanin Etrafi Dumanli Daglar/ウルファヌン・エトラーフゥ・ドゥマンルゥ・ダーラル”という歌が、妙に好きです。いわゆるAsk sarkısı/アシュク・シャルクス/ラブ・ソングですが、最初に聞いたときからカパッとハマってしまいました。ずっと探していたのですが、きょうYouTubeをサクサクしていたら見つけたので、みなさんもどうぞ。。。

http://youtube.com/watch?v=ORX35W-RF0Q

 唄っているのはAyse Tas/アイシェ・タシュという方で、これまでまったく知りませんでしたが、調べてみるとアンカラのラジオ局に属するシンガーのよう。その声はトルコの芸術音楽(伝統的なオットマン・クラシック音楽)の超〜有名シンガー・Bulent Ersoy/ビュレント・エルソイにも認められたというからスゴいです。なんか独特のリズムがグググッと迫ってきて、なんとも言えず離れ難い魅力があるんですよねー、この歌。

 もうひとつ、すごーく気になっていた歌があって、それはファーティ・アクンの映画『愛より強く』の冒頭、途中でイスタンブルの海峡の風景をバックに唄われる曲。いままで見つけられなかったのに、きょう偶然見つけてしまいました。それがこれ。

http://www.youtube.com/watch?v=00kUySGi3hA

 唄っているのはidil Uner/イディル・ウネルという女性で、ドイツはベルリン生まれのドイツ/トルコ人女優さん。同じくファーティ・アクンの『im juli』という映画では、主人公が最初に恋に落ちるトルコ人女性として登場しています(劇中、Gunesim/ギュネシム/わたしの太陽という歌も披露)。

 ※写真は『愛より強く』のなかのワンシーン。中央の赤いドレスを着ている女性がイディル・ウネルさんです。

ゴディバ

2008.02.21
(2007.01.08の日記より)

 ちょっと古い話で恐縮ですが、きょう東京外国語大学のNews from the Middle East 日本語で読む中東メディアをなにげに読んでいたらこんなニュースがっ!!!(……って、去年の12月21日の話ですからNewスじゃないんですが)

 『トルコの食品・菓子メーカー、ウルケル社、チョコレートで有名なゴディバを買収 (Milliyet紙)』

 うっそーっ! って別にMilliyet紙を疑うわけじゃないんですが、ホントなのー? と他でも調べてみると、ホントでした。

 ゴディバって、以前にキャンベル・スープ社(アンディー・ウォーホールのイラストで有名なあのメーカーです)に買収されていたんですが、そのキャンベル・スープ社がゴディバの名を冠するチョコレート事業をトルコの食品・菓子メーカー、Ulker Grubu/ウルケル・グループのYildiz Holding/ユルドゥズ・ホールディングに8億5千万ドルで売っちゃったらしいのですっ!

 ウルケルって、日本でいったらロッテとか、明治とか、そういう感じ? ウルケルの創立は1944年、最初はクッキーを売るちっちゃなベーカリーだったみたいです。それがいまや年7兆円を越える売り上げを誇る、トルコでは知らない人のいないメーカーですからねー(ちなみにロッテの創業は1948年、明治製菓は1924年・前身の東京菓子株式会社は1916年。ロッテは創業当時社長自らリヤカーでチューインガム販売をしていた……とあるから、感じとしてはロッテが近いかな?)。

 いや〜、そうか〜、なんだか感慨深いなー。というわけで、日記に書いてみました。がんばれウルケル! がんばれユルドゥズ・ホールディング! さぁ、これでトルコにもゴディバのお店ができるんだろうなー(きっと、高いに違いないっ)。



 写真は、Ulkerのお菓子たち。そして、わたしがトルコ滞在中にたいへんお世話になった、UlkerのCafe Crown(1つ20円くらいでした。学校のカフェテリアでお湯だけ買って(25YTL)、これを入れて飲んでました)。
 こうしたラインナップにゴディバが加わるんですねー。そのうち、ゴディバの原産国表示がトルコに変わったりして。

将軍の庭


2008.02.21
(2007.12.26の日記から)


 先日街の100円ショップに行ったときのことです。そこでわたしは、予想外にもトルコと出会ってしまいました。

 そのトルコとは、Pasabahce/パシャバフチェ。トルコのパシャバフチェと言えば、誰もが知っているクリスタル・メーカー。建国の父・アタチュルクの肝いりで1934年に創業した泣く子も黙る(!?)トップ・メーカーです。名前だって直訳すると『将軍の庭』。なんだかよく分からないけど、すごそうな名前でしょう? そんなパシャバフチェのグラスが、こともあろうに100円ショップにあるなんてっ!!! ハッキリ言ってショックでした。いま流行の"偽"物じゃないの、と最初は思ったのですが「トルコ製」と書いてあるし、何よりもグラスをひっくり返してみると底面には「Pasabahce」の刻印が……「あぁ、パシャバフチェも地に落ちたもんだっ」とガックリせずにはいられませんでした。
 そりゃ、トルコ国内にあるパシャバフチェのお店にもいわゆる日常食器的なお手頃価格のものが置いてあります。でも、100円ショップで売って利益が出るってことは相当安いわけで…… なんだか本当に悲しかったのです。

 ……で、気になって調べてみると日本でも結構安く売っているんですね。調べた限り、一番安かったのは1個170円のスコッチグラス。でも、会員になるとさらに安く買えるようでした。実際、100円ショップで売っていた安いグラスも同じ型のスコッチグラス(写真をご覧ください)。あぁ〜一体いくらで仕入れているんだろう???

 でも、こんなふうにパシャバフチェのグラスが安く買えるのもいまのうちかもしれません。昨年7月、総選挙も終わり、どうなるのか? とにらんでいたトルコリラの価値もほぼ1トルコリラ=日本円90円前後で推移しているし、かつてのようにトルコに行って「きゃ〜っ安いっ、安いわっ」という時代は終わってしまったようです。……というわけで、この100円ショップのパシャバフチェをしっかり買って帰ってきたのでした。

 写真が100円ショップで見かけたスコッチグラスです。

うつろいの季節



2008.2.21


 次の日記は日本から……と書いて、既に3ヶ月以上経ってしまいました。
 日本に帰ってきてしまえば〈トルコ日記〉ではなくなるし、、、という思いもあって、なかなか更新できませんでしたが、勉強のためトルコの新聞をインターネットなどで読みつつ、なんとか語学力落下をくいとどめようともがいています。

 さて、これまでの3ヶ月、書きためた日記のなかから抜粋して一部をアップしようと思います。

 まずは2007.11.29の日記。
 先日、大阪ヨーロッパ映画祭で上映された『うつろいの季節(とき)』。2006年カンヌ映画祭・国際批評家連盟賞、2007年イスタンブル国際映画祭・最優秀トルコ映画賞、2007年SKIPシティ国際Dシネマ映画祭・最優秀作品賞受賞作、という前フリもあってかなり期待して観てきました。
 原題は『iklimler(イクリムレル)』ー直訳すると“さまざまな天気・気候”ですから、邦題の『うつろいの季節(とき)』はうまく翻訳されていると思います。撮影地カシュ(夏)、イスタンブル(秋〜冬)、東部の町(冬・雪)と、人間関係の移り変わりとともに季節も変わり、天気も変わり、心も動く。なかなかうまいタイトルです。

 映画は見る人によってさまざまな印象を与えるものであって、ひとことで良いとか悪いとか言えないものだと思うのですが(観るタイミングにも大きく左右されるし)個人的には・・?・・でした。ストーリーが空虚。ただカメラワーク、アングル、映像の切り取り方は面白く、興味深く鑑賞しました。
 ストーリーが空虚、というのはドラマ好きのわたしからすると物足りなかったから。主人公の男性心理がうまく心にしみ込んでこないというか、気まぐれでワガママな男にしか見えなかった。彼の心の動きが単発的、発作的で、感情移入できなかったのです。まぁ、男ってものはそういう生き物なのだよ、ということが描かれていたのかもしれませんが、あまりにドライ。もう少し納得できるポイントがあれば少し違ったかもしれません。でも、リアルと言えばリアル……なのかな? これって。
 反対にカメラワーク、カメラアングルは良かったです。映像が語る映画だったと言えるでしょう。撮影している絵の切り取り方もすごくうまくて、唸らされるシーンもかなりありました。特に別れた彼女を追いかけて雪に埋もれた東部に行ってからが良かった。監督は若いころから名をなした写真家だそうで、静止画としての美的感覚が映画に反映されているのかもしれません。

 でも、ひとつ残念なことが。監督が撮影そのものでデジタルカメラを使っているのか、それともフィルムをデジタル化した時点でそうなったのか分かりませんが、映像がビットマップ化(ピクセルが粗い)していました。最初にテロップがでた時点で文字がビットマップ状。そのときは“わざと”そうしているのかな、と思ったのです。ところが、映画が始まってみると全編が同じ状態。アップのシーンは特に気になりませんが、遠景になると粗い画像が気になって、気になって……。せっかくのきれいな映像なのに、これはちょっといただけませんでした。ほんと残念です(泣。

 映画についてのWebsite(トルコ語と英語)
 http://www.nbcfilm.com/iklimler/iklimler.php?mid=1

 写真の男性がこの映画の主人公であり、監督でもあるヌリ・ビルゲ・ジェイラン、女性が主人公の恋人役で、実生活では妻のエブル・ジェイラン。あ、いま思い出したけどジェイランってトルコ語でガゼルの意味。ガゼルってトルコでは“愛”とか“恋人”を意味するってトルコ語学校の先生に聞いたような気がする〜。それと奥さんの名前エブルは、Ebru=マーブルって意味です。