2008-02-21

月にウサギを不思議がるトルコ

2008.02.22

 きのうHurriyet/ヒューリエット紙を読んでいたら、気になる一文を発見。

 『中国人は、月に何を見る?』


 「月を見るとき、みんなそれぞれ違ったものを見る。ところが13億の中国人は、ただひとつのものを見ている。

  月を見ないものはいない。そして、皆がそれぞれに何かを見る。想像力によって形作られる何かを。(中略)けれど、中国人たちは月を見るとき、皆同じものを見ているのだ。
  そう、みんな同じものを。13億の中国人が、どうして同じものを見るのかは分からないが、特に年老いた人たちに尋ねればあなたにある物語を語ってくれるだろう。わたしたちもその物語を知っていたら、どうして皆が同じものを見るのか分かるだろう。
 昔から現在まで続く物語は、中国において東世界のサンタクロースの物語のようによく知られている。これによると、月にはとても心のやさしいウサギが住み、いつも餅を作って世界のよいこたちに届けている。この物語により、中国の子どもたちは月を見ると腕に餅を抱えたウサギを見ようとする。見ようとがんばって見ることができる。実際、この理由から中国占星術ではウサギの年はすべてが良く、成功に満ちた年とされている。」


←これが月にいるウサギの説明画像(Hurriyet/ヒューリエット紙より)







 ちょ〜っと待ったぁぁぁっ!
 それ、中国人だけじゃないよぉ〜!
 わたしたち日本人もウサギを見てるよー。ま、見てるのは腕に餅を抱えたウサギじゃなくて、餅をついているウサギですけど。

 で、気になりました。なんでわたしたちは月に餅つきウサギを見るようになったのか? 誰から聞いたんだっけ、この話???

 インドの仏教説話集ジャカータのなかにはウサギが火に身を投じて仙人(帝釈天)に布施し、それに感心した仙人がその姿を永遠に月に置いたという話があり、月の模様がウサギに見えることの発祥であるとか。また、古代中国においては月でウサギが不死の薬ついているという話があり、それが日本に伝わって“餅をつく”になったという説も。ちなみに法隆寺にある天寿国曼荼羅繍帳残欠には月とウサギ、薬壷が描かれているそうで。

 たぶん仏教や中国文化とともに上記のようなお話が日本に伝わり、薬が餅に転化して餅つきウサギになったんでしょうね。でも、↑上記の物語なんてまったく意識していないのに、月とウサギはセットのように思っているわたし。完全に刷り込まれています。

 この記事のトルコ人読者のひとりは「みなが違ったものを見るのが当然」って書いてたから、トルコには月に関するお話はないんでしょうね。ちなみに、イスラム教ではウサギは食禁忌(ハラム)だそーで。キリスト教世界では誘惑のシンボル、ユダヤ教ではイスラム同様食禁忌なのだとか。お国が違えば、見るものも違う。摩擦の多い日中間ですが、つながりはやっぱり深いですね。

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