2008-02-22

訴訟好き?

2008.02.22
(2並びでニャン、ニャン、ニャン。猫の日だそうで、今日は)

 数日前から気になっていました。どうやら、最近トルコのエルドアン首相は訴訟がお好きなようです。


 発端は、2月17日にVatan/ヴァタン紙で見つけた『Erdogan 90lara bakip sukretmeli/エルドアンは90年代を見て感謝すべきだ』という記事。「メディアを非難し続けているエルドアン首相が、90年代の大胆不敵なメディアに直面していたらどうなっていたか。もし、こんなことをエルドアンにさせたとしたら!」と皮肉調で続く記事には、新聞記者や漫画家たちがエルドアンの攻撃の的になっていると書かれていました。どうやら首相は自身を揶揄ったり、批判したりする記者や漫画家たちを相手に損害倍書を起こしまくっているようなのです。
 Vatan/ヴァタン紙は、90年代に彼等が揶揄りまくったトゥルグット・オザルやその家族、シュレイマン・デミレル、トゥルグット・ユルマズ、タンス・チンレル、ネジメット・エルバカンなどを例に出し、彼等はエルドアンほど厳しい態度はとらなかった、訴訟なんか起こさなかった、オザルにいたっては自身に関する(批判)漫画を集めていたのに……と書いています。

 続く2月20日、同じくVatan/ヴァタン紙に『エルドアン、この戯画のため20,000YTL(日本円で180万円相当)を要求』という記事が。2週間前、レマンという雑誌の表紙に使われたコミカルな合成写真に対して、エルドアンが損害賠償訴訟を起こしたというのです。でも、同じVatan/ヴァタンから出ている記事だし、大袈裟に書いているのかも・・・と思っていました、今日までは。

←これが問題となっている雑誌の表紙

 ところが今日、Radical/ラディカル紙を読んでいるとPerihan Magden/ペリハン・マーデン女史のこんなコラムを発見!
 『親愛なる訴訟好きのエルドアン首相殿』
 そう見出しに書かれたコラムには、エルドアンがCHPのオンデル・サヴ書記長に対して30,000YTLの、また同コラム作者であるマーデン女史に対して10,000YTLの損害賠償訴訟を起こしたと書かれいます(マーデン女史の先週水曜日に掲載されたコラム『首相は本当に仕事が好きなのか?』に対しての損害賠償)。ここで、マーデン女史は雑誌レマンに対する訴訟にも触れ「あれが侮辱的だとされるなら、これからあなたの訴訟中毒で裁判所は忙しくなるんでしょう」と綴っています。

http://www.radikal.com.tr/haber.php?haberno=248076

 さらに、かつてエルドアンが “読んだ詩“ によって刑務所に送られたことに触れ、わたしは思想の自由、表現の自由の観点から、あなたを擁護したのに、このRadical/ラディカル紙で! とも述べています。また前述のVatan/ヴァタン紙同様、記者たちやコラムニストたちはかつての政治家たちに対してひどい批判を書いたけれど、自分を含む誰一人、誰一人裁判所になんか送られなかったと。
 そして、こう締めくくっています。「もし裁判にあなた(エルドアン)が勝ったら、賠償金はわたしが身銭を切って払います。わたしの社長じゃなく、わたし自身が!」と。そして「わたしが払うお金は、あなたの “Hakiki Oz Demorrat/真実の民主主義”って名前の空虚な空想雑誌には使わないでね」と。

 政治家なんて批判、批評されて当たり前の職業です。だって公僕の最たる存在だもの。それだけ一挙手一投足が注目されるからこそ、新聞や雑誌のネタになるんです。ジョークにされるぐらいなら笑って流しとけばいいぢゃないですか。本当に的を得た批判なら、しっかりと耳を傾けるべきだし。いちいち目くじら立てる必要ない。なんでエルドアンさんは、こんなに怒ってるんでしょうか? むしろその方が不思議です???

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