2007-10-02
きょうの新聞 ファーティ・アクンの言葉に大反響
2007.10.02 PM7:40
最近、読める読めないは別としてなるべく新聞を買って読むように努力しています(先日の試験でやたら長いテキストが出たため、読む訓練をしないといけないかな?という気にもなって……)。
きょう買ったHurriyet/ヒューリエット紙で気になったのは、2面に掲載されていたファーティ・アクン(『太陽に恋して』『愛より強く』の映画監督。今年のカンヌ映画祭で、最新作『ジ・エッジ・オブ・ヘイブン』が脚本賞を受賞しました。なお、本作は現在オスカーにもノミネートされています)の記事。わたしレベルのトルコ語理解力で翻訳したので間違っているところがあるかもしれませんが、要約するとだいたいこんな感じです。
トルコで軍隊へは行かない 必要となれば国籍/市民権を捨てる
『The edge of heaven』の監督ファーティ・アクンが、トルコで兵役にはつかないこと、必要とあればトルコ国籍/市民権から抜けるつもりだと語った。
ある雑誌のインタビューに答えたアクンは、主義として兵役には就きたくないと語った。
「映画をどのように定義するか?」との問いにアクンはこう答えた。「ひとつの世界の映画です。ドイツに端を発する世界の映画です。誰かがボクに無理矢理決めさせない限り。これは誰でもあり得ます。第三帝国(ナチの時代を意味している)の外側とその後に続く世界で、新しい第四帝国もあり得ます。あるいはトルコも(そうなることを)望めます。わたしはもうトルコで兵役に就かなくてはいけません。しかし望んではいません。その気持ちがないのです。どうしてもというならトルコ国籍から抜けます。この手に武器を持つくらいなら(わたしの一部を)放棄する方を選びます。もちろん、これはわたしが誰であるかが関係ないという意味ではありません。わたしがイスタンブルっ子であることに変わりはありません。
これを読んで初めて、アクン監督がトルコ国籍/市民権(原文ではVatandaslik/バタンダシュルック)を持っていたことに気づきました。ご両親がトルコ人であることは知っていましたが確か生まれも育ちもドイツで、トルコの国籍/市民権をもたないトルコ系ドイツ人だと思っていたのです。
この言葉のすべての意味は映画を見ていないので分かりません。第三帝国、第四帝国という言葉があり、トルコもそうなることを望める……ということは、国粋主義(外国人排斥・同性愛嫌悪・共産党敵対)の国になり得る可能性を秘めているということなんでしょうか? これはトルコに限らず、どこの国にも言えることだと思いますけど。
さて、しかしながら、このなかで最も話題となっているのが「トルコで兵役には就かない」という彼の言葉です。フツーに考えて、好き好んで兵役に行く人はいないんじゃないのか?というのが、わたしの正直な感想です。トルコではあまり公に語られませんが(建前として、兵役はトルコ男子の絶対的義務ですから)、全面戦争でないにしてもPKKの問題で現在でもトルコとイラク国境あたりではドンパチがありますし、そうでなくても兵隊としての訓練を受けるというのは決して楽しい体験ではないように思います。だからこそ、チャンスがあれば兵役期間を短くしようと国外へ出る人も多いのでしょう(もちろん、それだけが理由じゃないでしょうが、それだけを理由に国外に出る人も実際にいます)。
アクン監督の「武器を手にするくらいなら」という言葉も、日本国憲法第九条信奉者のわたしとしては至極当然に聞こえます。しかも彼はドイツで生まれ、ドイツで育った人です。ドイツは良心的兵役拒否も認められていますし、兵役に就く代わりに社会奉仕をすることができます。そういった社会のなかで暮らしてきて「義務だから兵役に就かないといけない」という理論は受け入れ難いでしょう。
と・こ・ろ・が、夕方インターネット版のHurriyet/ヒューリエットを見たら、このアクン監督の「トルコで兵役に行かない」という言葉に対するアンケートが行われており、その結果が載っていました。
◎アクンは有名な映画監督だし、兵役義務についてこんなふうに考えるのも至極当然……31.0%
◎アクン監督も(ノーベル賞受賞前の)オルハン・パムクと同じで、オスカー受賞を意識し、トルコを批判することで自分を売り込んでいる……63.8%
◎この言葉はたいして重要じゃない。重要なのはパムクやアクンが世界で成功を手にすることだ……5.2%
まぁ、そもそも3つの答えしか用意されていないアンケートですから、ちょっと誘導質問の匂いがしないでもないです。アクン監督個人の主義・思想として「武器を手に持つくらいなら……」ってアリだと思うのですが、それが「ノーベル賞やオスカーのために自分を売り込んでいるだけ」ととられてしまうと・・・ツライくないですか? なんというか反応するポイントが違うなー、と感じたアンケートでした(トルコにおける軍隊って、ゼッタイなんですねー。あって当たり前だし、みなが賛同するのが当たり前。もちろん、個々に意見はあるだろうけど、公に軍隊や兵役を批判したり、有無を議論するって難しそうな気がする・汗)。
※写真は本日のHurriyet/ヒューリエットの記事と、インターネット版のアンケート結果。
あと関係ないですが、新聞に載っていた一コマ漫画。手前のおじちゃんが使ってるパソコンがリンゴマークだったので撮っときました。トルコでMacintoshの市民権はまだまだなのに。きっとこの作者がMac愛用者なのでしょう・笑。
※上記翻訳で間違っているところがあったら、本当にごめんなさい。間違いに気づかれた方はぜひご指摘ください。
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