2008.03.21
エリフ・シャファク/Elif Safak……というのは、トルコ人作家(♀)の名前です。
先日、Hurriyet/ヒューリエット紙で、彼女がイギリスの栄誉ある文学賞のひとつ“2008年オレンジ賞(小説部門)”の候補者に選ばれた、と報じていました(候補作は20作/6月4日に受賞作が発表されます)。選ばれたのは『Baba ve Pic/ババ・ヴェ・ピチ(父と私生児)』という小説で、英語版は『Bastard of Istanbul/イスタンブルの私生児』というタイトルで出版されています。記事によると、同小説は“あるアルメニア人家族とトルコ人家族の90年にわたる複雑に絡み合う関係を描いた物語”だとか。この小説は出版当時、トルコで“国家侮辱罪”に問われましたが、結果的に小説には罪となる要素はなく、証拠も認められないということで無罪放免になりました。
最初にこの人に注目したのは、トルコのZaman紙のコラムで。現在はどうやらアメリカにお住まいのようですが、コラムニストとして記事を投稿されていて、とてもバランスが取れた視点をお持ちだなぁ〜と感じていました。これまでにトルコ語で9冊、英語で4冊、ドイツ語で2冊が出版されているようですが、残念ながら日本語に翻訳された本はありません。
エリフ・シャファクをはじめ、トルコの現代作家には気になる人がたくさんいるのだけれど、邦訳されているものはごくわずか(ノーベル賞作家のオルハン・パムクでさえ邦訳小説は2冊。受賞後に長いエッセイとも言える『イスタンブル』と、講演を納めた『父のトランク』が出ましたが、『わたしの名は紅』以前の小説など、まったく出てきてません)。なんとかトルコ語をマスターしてトルコ語で小説が読めるようになりたいものだと思っていますが、まだまだ、遠い遠い道のりです。
※オレンジ賞 イギリスの最も栄誉ある文学賞のうちのひとつ。国籍に関わらず、英語で書かれ、イギリスで出版されている女性作家の作品から選出される。日本ではまだあまり馴染みがないけれど、『ホワイト・ティース』の作家ゼイディー・スミスは2005年に『On Beauty』という作品で同賞を受賞している。
※写真は、Elif Safak/エリフ・シャファクご本人(エリフ・シャファクのウェブサイトから http://www.elifsafak.us/default.asp)と、オレンジ賞のロゴ(去年の)
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