2007-08-28
都合の良い神様の使い方
2007.08.28 PM8:15
ジャーミーでの“雨乞い礼拝”が功を奏したのか? それとも昨日のKandil/カンディル=Berat kandili/ベラット・カンディリでモスリムたちが自らの罪を償ったからなのか? とにかく昨日の晩、夕立のような雨が降り、夜中にも断続的に雨が降り、さらにきょうの昼日中にも雨がザーッと降りました。これしきで水不足が解消するわけではないでしょうが、わたしがアンカラにやってきて以来、初めての雨らしい雨&曇り模様の1日でした。
さて、きょうの写真はアンカラ市のポスターです。以前から電車内や駅構内に貼ってあって気になっていたのですが、なかなか写真を撮ることができませんでした。でも、きのうバス停のところに大きく貼ってあるのを発見し、“激写”してまいりました。
Tesekkurler Ankara... Melih Gokcek(ありがとう、アンカラ メリヒ・ギョクチェク)と書いてあるの、読めます? 細かいところまで理解しているわけではありませんが、ニュアンス的には「アンカラの水不足に協力してくれてありがとう。わたしたちは水不足解消のためにがんばっていますよ〜」というメッセージのようです。アンカラの水源となる場所や、パイプライン引き込み工事現場などの写真もありますから。
でも、このポスターを初めて見た時は(2週間くらい前だったと思います)あまりの厚顔無恥さに笑ってしまいました。まぁ、政治家というのは、どこの国でも面の皮が厚くないと務まらないものなのかもしれませんが。
そこできょうは、以前に読んだMilliyet紙のコラムをご紹介しようと思います(8月11日付)。Can Dundar氏によるこのコラムでは「Yagmur duasi yerine 'istifa duasi'na cikalim(雨乞いではなく辞任乞いを)」というタイトルで市の無政策を痛烈に批判するとともに、ギョクチェクの責任を問うていました。
アンカラでは、空前の水不足で病院が一時的に機能しなくなりました。手術は中止され、重篤でない患者は家に帰されたそうです。ショッピングセンターのトイレも閉鎖され、ロカンタでは紙皿とプラスチックのナイフ&フォークで食事が出され(これは、わたしも経験済み)、給水車から届けられる水も決してきれいではなかったとか。
そんななか、ギョクチェク市長はあろうことか「Allah'in bu kadar afet verecegini ongoremedik. Muslumanlar Ankara icin dua etsin(アッラーがこれほどの災難をお与えになろうとは見通せなかった。ムスリムはアンカラのために祈ってください)」とのたまったとか。そこで、ひと言。
こんなところに神を持ち出してくるんじゃなーいっ!!!
そんなこと言ってたら政府や市制の不手際はすべて“アッラーがお与えになった試練”になってしまうじゃないかっ(怒。
一方で、宗教庁長官のアリ・バルダックオウル氏はギョクチェクの発言を受けてか受けずしてか「Susuzluk Allah'in cezasi degil. Tedbir almamanin cezasini cikiyoruz. Once tedbir al, sonra Allah'a yalvar.(水不足はアッラーが与えた罰ではありません。対策を講じなかったことの罰が出て来ているのです。まずは対策を講じよ、それからアッラーに乞うべし」と、市の無策にチクリと刺さる発言をしていました。ジャーミーで雨乞いを、という市の呼びかけに対して、宗教庁の長官が「アッラーに乞う前に対策を」と言っているのですから、これはキツーい一発だったでしょう。
このコラム、Can Dundar氏はこう結んでいます。雨乞いがあるなら、政府は自らの力でどうしようもない問題(責任が取れなかった問題)についても「地震よけの礼拝」や「テロよけの礼拝」やらを持ち出してくるかもしれない、と。そして、正式加盟のために礼拝をと呼びかけ、皆が祈ればEUにも加盟できるんだろうか、と。←笑いました、これには。言ってほしいことを言ってくれた、という感じ。
水不足に対する無策にも呆れましたが、敬虔なムスリムたちの信仰心を利用するような言動、市民に対する責任を“アッラーがお与えになった罰”にすり替えてしまう発言には、もう笑うしか……。大丈夫か、トルコ? と要らぬ心配までしてしまう、水不足問題だったのでした。
追記*試験はきょう終わりましたが、結果は明日の朝までお預け中。。。明日の日記で報告します(インシャッラー ←と、神に乞うてみたりする自分がここにいる。でも努力はしたんですよぉ〜、わたしの場合)。
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